【レポート】「うまい」の意味から見るうまい棒
うまい棒という駄菓子がある。その歴史は長く、1979年より発売されて今も人気を誇る商品である。その商品名に使われている「うまい」という形容詞も古くから使われており、意味変化を経つつも現代に残る言葉である。「うまい」を名乗るからにはうまくあってほしい。そもそも「うまい」とはなんなのか、本稿ではうまい棒がどれほど「うまい」という言葉に合致しているかをテーマとし、「うまい」の意味とうまい棒の魅力への理解を更に深めていく。
まず「うまい」の意味を整理する。「うまい」は<美味である>という味覚を表す語であった。味覚に対する満足感のみを表していた「うまい」は味覚以外を対象としても用いられるようになり、多義化していった。大別すると以下の3点である。
①味覚の良さ
②都合の良さ
③技術の高さ
上記それぞれの意味に「うまい棒」が合致するかどうかを考察する。
まず①味覚の良さについて、実際に食べることで確認した。大学生活以来失った味覚を以てしても感じられる塩味はもちろん、駄菓子独特の砂糖を使っていなさそうな甘さが、悪いものを食べているような背徳感を人々に与える。背徳感とはスリルであり、喜びである。これは「味がうまい」と言っていい。ちなみにめんたい味には明太子は特に使われておらず、赤ピーマンが主なフレーバーである。なお筆者が食べたものは以前通天閣入館の際ノベルティとして入手したうまい棒である。大阪なのでたこやき味かと思いきやその味はカレー。以前に配布されていたうまい棒もチーズ味、シュガーラスク味、串カツソース味と、たこやき味は一切ない。通天閣周辺はたこ焼きより串カツが有名なので仕方ないのかもしれないが、カレーはそれ以上に関係ないやん!更にチーズ!なんやねん!チーズカレーにしろいうんか!?というツッコミ待ちであると推察する。ノベルティとして配布されているうまい棒は他にもあり栃木の有名な那須塩原ハンターマウンテンのものもある。
次に②都合の良さについてである。駄菓子はその安さもあり、まだ自分の力で金を入手することのできない子供達がメインの消費者層である。そんな駄菓子の中でもうまい棒は価格10円という屈指の安さを誇っている。10円を握りしめて行けば買える。「子供にとって都合がいい」と言えよう。またうまい棒は売る側としても「都合がいい」ことが多い。1本10円として売ることもできれば、10本100円、更には100本1000円で売ることもできるためである。うまい棒は100円均一DAISOでも販売している。よりどりみどり10個100円という販売形態となっている。しかし、昨今のコロナウイルスの蔓延により光が丘DAISOではコンポタ味、チーズ味、めんたい味しか売っておらず、全くよりどることができない。なお、筆者が小学生時代に通っていた駄菓子屋では謎の税制が敷かれており、うまい棒は税込み11円であった。
最後に③技術の高さについて、うまい棒が「10円という決まった価格の中で製造されているため、原材料費の価格変動に合わせその長さは常に予告無く変更されている」※ことは有名である。この常に内容を変動させることにより、逆に消費者に、なんだか量、少なくなった?という認識を許さず、安定した利益を出す手法は「商売がうまい」と言わざるを得ない。ライフスタイルの変化により駄菓子屋文化が廃れる中コンビニ、スーパー等の販路へシフトした様もまた「うまい」。最初に決めたコンセプトをブラさず範囲を広げていくマーケティング手法は他企業も見習う価値がある。
以上から、うまい棒は「うまい」という言葉の多義性に見合う商品であることがわかった。今後はWikipediaの画像「お盆に載せたうまい棒各種」について、どれが何味なのかを確認していく予定である。たこやき味だと推察されるものが3本もあり、まだ完了には時間を要する状態である。考察は途中ながらも改めて言葉の意味変化の広さとうまい棒の魅力を再発見できた喜びを胸に、本稿の結びとする。(1647字)
※ wikipedia."うまい棒".うまい棒 - wikipedia.2020.https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%81%86%E3%81%BE%E3%81%84%E6%A3%92(参照2020-3-12).
(参考文献)
※友達に雇われて2時間で提出したレポートです。